こんばんわ…。危うく早くも週一更新を挫折するところでした。今日は歯列矯正の話です。
2022年の夏頃から歯列矯正をしています。
自身の歯並びの悪さにはずっと悩んでいたのですが、10代のうちに対処出来なかったから詰みだよね…と思って諦めていました。しかし、去年信頼出来る歯医者さんに出会えたので勇気を振り絞って相談したというわけです。
その過程は色々とあったのですが、今回はとにかく抜歯後の話を聞いて頂きたいのです。
まず、私の場合は不正咬合で開咬・オープンバイトなどと言われる症状だと診断されました。平たく言うと出っ歯過ぎて前歯で食べ物が噛み切れないよー!という非常に不便な状態ですね。本人は割と最近までそれが普通だと思っていました。え?前歯でレタスを噛み切れる人なんて存在するの?って感じです。
引っ込み思案な本人とは対照的に前へ前へと主張した出っ歯を、どうにか奥に治めるスペースを確保するべく、まずは元ある歯を5本も抜歯する必要があるとのこと。正直かなりひよりました。
二十数年の時を共にした歯達との別れを惜しむために、最後の晩餐と称して美味しいものをたらふく食べました。パフェとか、ピザとか、海賊が食べてそうなイカツい肉とかいっぱい食べました。まあこれはプチ断食をお休みする口実だったりもしましたが、しばらく食べられるものが制限されるということを考えた結果です。
そうこうして、もう思い残すことはないぞ!と抜歯に挑みました。抜歯といっても一気に5本抜くわけではありません。そんなことしたら大惨事です。まずは上の歯を2本、その10日後くらいに更に上の歯を1本抜きます。抜歯後の傷口が落ち着いた頃に、上の歯に矯正器具を入れます。次は下の歯を1本抜き、その1週間後にもう1本。そして下の歯に矯正器具を入れる。といった流れでした。
弔いに歯達の屍の写真を載せておきます。血の色が怖かったので一応モノクロ加工をしています。苦手な方は飛ばして下さい。妙に恥ずかしいのですが、これはどういった種類の羞恥心なのでしょうか?
こうして徐々に歯を失っていくわけですが、これがなかなかメンタルにきます。
まず見た目の問題。文字どおり歯抜け状態の自分を鏡で見ると物悲しくなってきました。特に上の歯を3本抜き終わって、矯正器具を入れる前の状態が酷い。器具が無いので、“歯列矯正をしてる人”ではなく“シンプルに歯が無い人”の期間が発生します。しかも残された歯はまだ治療前なので、“歯並び終わってる上に歯抜けの奴”状態です。極力、人と会いたくなくなります。マスク社会で本当に助かりました。
更に、人前でご飯を食べることができず、仕事のお昼休憩を取らないという暴挙に出ます。一昔前の根性論社畜みたいに思われる危険性はありますが、「あれ?あいつ、歯無くね?」と思われるよりはマシです。「お腹空かない?」と心配されるかもしれませんが、私は少し前から世間で話題の16時間断食にチャレンジしています。それが習慣化し、空腹状態に慣れていたので問題ありませんでした。前々から「16時間断食してるんですよ〜」と公言していたことが功を奏し、今のところ特に深く突っ込まれることなく済んでいます。
実際に5本の抜歯が終了し器具を装着すると、食べられるものがかなり限られます。器具に絡まる系のものは、後処理がかなり面倒なので口にしなくなります。一度血迷ってメカブを食べてえらい目に遭いました。メカブは大好きだけど、食後の代償が大き過ぎる。
器具の締め付けが痛くて、肉なんて噛み切れたもんじゃありません。ナイフで一口サイズに切って口の中に入れたところで、抜歯の影響で上下で噛み合う歯が3ペアくらいしか無いので、咀嚼にえらい時間がかかります。食事に時間がかかるので食べるものが減っていきます。これに関しては16時間断食のサポートになり体重も落ちたので結果オーライかな?とポジティブに考えております。
一番しんどかった期間は、上の歯に器具を装着し、下の歯を抜歯した直後でした。抜歯直後は、歯が生えていた部分の穴を塞ぐように、血餅というものが発生します。初めは「なんか血の塊が膨らんできちゃったんだけど!」と、かなり焦ってネットで検索しまくりました。不安に駆られて涙目で歯医者さんに電話もしました。
どうやらこの血餅というものは数日すると自然に歯茎に吸収されていくので放っておいて大丈夫なようです。むしろ無理矢理取ってしまうと穴が塞がらずドライソケットという症状になってしまう危険性があるとのこと。このドライソケットというのがどうやら激痛らしいと知り、ビビり散らかした私はこの血餅を死守するべく食事に細心の注意を払うことになります。こうなってくるともう何をどう食べたらいいのか分かりません。
噛み合う場所は無いわ、器具の締め付けは痛いわ、血餅に触れないように気を付けなきゃいけないわ。もう点滴とかで必要最低限のエネルギーだけ補給させてくれ!といった状態です。
このしんどかった期間はヨーグルトに粉末プロテインを混ぜたものを主食にしておりました。ディストピア飯を彷彿とさせます。パフェもピザも海賊肉もとてもじゃないですが口になんてできません。こうなってくると痩せはするのですが、なぜか生命力がグッと下がった気がしました。
人間、満足な食事が出来ないとパワーが出なくなるんですね。それに加えて歯抜けで見た目に自信が持てずコソコソ暮らすようになると、なんだか自己肯定感まで下がっていくような気がします。こうしてどんどん生命力を失っていきます。
ところで、これを読んで下さっているあなたは、お笑いコンビ錦鯉の長谷川雅紀(はせがわまさのり)さんをご存知でしょうか?
錦鯉の雅紀さんは、スキンヘッドで白い衣装を着ている方ですね。漫才でボケを担当しています。
なんで急に錦鯉?と思うかもしれませんが、彼は歯が8本無いことで有名なんです。最近では流石に治療されているかもしれませんが、長年歯が無い状態だということをテレビやラジオでよくトークされています。
以前は他人事のように、あははおもしろーいと笑っていた私ですが、歯を失った今思います。
「雅紀さん元気過ぎない?」
歯が8本も無いならまともに食事なんてできないのでは?生命力も相当落ちるのでは?
なのにあんな元気に大声で「こーんにちわー!!」なんて挨拶出来るでしょうか?私には到底出来ません。頭をあんなに強く叩かれても(ツッコミ)とっても元気。流石プロ。
今の私はもう雅紀さんを尊敬の眼差しで見ています。「食べ物が噛み切れないから大体のものを丸呑みしている」といった発言も「つ…つよい…!なんて豪快なの!」と思いますし、なんなら見習う姿勢です。
だからといって雅紀さんのトークで笑えなくなったわけではなく、むしろ“共感の笑い”という要素が足された感じです。錦鯉、面白いです。実は相方の渡辺さんも歯が2本無いそうです。
他人事だと思っていたことでも自分が経験して初めて、想像力の解像度が上がるもんだな、と思いました。
というわけで、私の歯列矯正はまだまだ続きますが、適度にお笑いを見て元気を取り戻しながら頑張っていきます。笑うと寿命が伸びるなんて話も聞きますし、生命力の回復にはうってつけですね。私もいつか大きな声で挨拶できるようになりたいです。
申し遅れました。鷲原和白(わしはらわしろ)と申します。好きなお肉は鶏肉です。
たんぱく質!たんぱく質!!
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